2019−2020トロント・ラプターズ
2019年プレーオフの熾烈なトーナメントを勝ち抜き、決勝でゴールデンステイト・ウォリーズを破りチャンピオンリングを獲得したのは、トロント・ラプターズでした。
しかし、2019−2020シーズン前の評価は決して高くなく、優勝争いは厳しいと予想されていました。
理由はエースのカワイ・レナード選手と、ディフェンスと3Pでチームを支えたダニー・グリーン選手の離脱です。メインロールを務めたプレーヤーが2人も抜ける事でラプターズの戦力は大きく落ち込む事になりました。
誰も予想していなかったのは、ラプターズが1月中旬から2月中旬にかけて15連勝を達成、勝率も7割以上でイースタン首位バックスに続き2位で、3月に入って早々プレーオフ進出を決めた事です。
エースが抜けたラプターズですが、2019年MIP(最も成長した選手)に選ばれたシアカム選手が更に成長を見せている事、ヘッドコーチを務めるニック・ナース監督の采配、ベテラン勢の経験など、様々な要素が重なり完成されたチームになっています。
スタッツでは、ディフェンスレーティング失点106.8でNBA1位、オフェンスは113.2得点で10位にランク(3月中旬)しています。しっかり守って走っている印象を受けるラプターズのバスケットボールは基本に忠実である為に、どのプレーヤーが出場しても高いパフォーマンスを見せています。
ヘッドコーチ ニック・ナース
ラプターズのヘッドコーチで2018年アシスタントコーチからヘッドコーチに就任後すぐにチームをカンファレンス首位でプレーオフファイナルまで導き、フランチャイズ初優勝を果たしました。
若手とベテランを織り交ぜたロスターで、ディフェンスから始まるバスケットボールを作り上げています。
2020年オールスターの監督にも選ばれ、チームヤニスのヘッドコーチを務めました。選手からも親しまれる監督で、もしラプターズが2020プレーオフ優勝を成し遂げる事ができれば、2020NBA最優秀コーチ賞を受賞する事は間違い無いでしょう。
カイル・ラウリー No.7
182.9cm 88.9kg NBA14年目
ラプターズのポイントガードで司令塔。ベテランの経験と勝負強さでチームを引っ張ります。
ブルドッグと表現される事もあるぐらい、タフなディフェンスで相手選手に襲い掛かる事も多いです。ハッスルプレーやディフェンスで頑張れるベテランで、若手選手の見本になっています。
得点ランキング19.7得点(リーグ30位)、アシストは7.7(リーグ7位)、NBAトップクラスの活躍をして、オールスターにも選ばれたラウリー選手はラプターズにとって、いなくてはならない存在です。
シーズンを通して多くの怪我人が出て、苦しい時期もあったラプターズですが、ラウリー選手が長期間離脱しなかったことが救いだったと感じます。
(2020ラウリー ハイライト)
サージ・イバカ No.9
213.4cm 106.6kg NBA11年目
パワーフォーワードで、中と外の両方から得点できるインサイドプレーヤーとしてラプターズの得点に貢献しているベテランです。キャリアでは、2012,2013ブロック王にも選ばれ、ディフェンスでも高い評価を得ています。
試合平均16得点、8.3リバウンド(リーグ20位)を記録しています。フィールドゴールも51.8%と高確率で決めています。
年齢もあり以前の様にインサイドで強烈なブロックショットは減りましたが、ベテランらしく落ち着いたプレーでチームを引っ張っています。
ラウリー選手との相性もよく、大事な場面では2人のP&Rで簡単に得点をあげる事が出来るのはラプターズの大きな強みになっています。
パスカル・シアカム No.43
205.7cm 104.3kg NBA4年目
2019年MIPを受賞後、更に成長を見せているシアカム選手。カワイ選手が移籍した後、チームのエースを担う得点力を見せています。
アフリカのカメルーン出身のシアカム選手は『Spicy P(スパイシーP)』の愛称でファンから親しまれ、スパイスの効いたムーブで敵ディフェンダーを翻弄しています。
試合平均23.6得点(リーグ15位)、リバウンド7.5(リーグ26位)アシスト3.6、スタッツもリーグトップクラスの数字です。独特なリズムと若手らしく速攻でよく走って、得点に多く絡めています。
プレーオフでラプターズが勝ち上がるためには、シアカム選手の爆発力が間違いなく必要になってくるでしょう。
ベテラン選手がチームを引っ張る中で、若手の爆発力がノックアウト方式のトーナメント戦では重要なってきます。シアカム選手の勝負所での得点に期待がかかります。
(独特なリズムとステップワークでディフェンダーをかわすシアカム選手に注目)
Pascal Siakam Highlight Mix! (Vol. 1)
OG・アヌノビー No.3
200.7cm 105.2kg NBA3年目
ラプターズの若手でほとんどの試合にスターター出場しているアヌノビー選手は成長株として期待されています。3月上旬で62試合に出場して10.7得点を挙げていて、リバウンドも5.4回奪っています。
オフェンスよりもディフェンスで頑張りを見せていて、多くの得点はファーストブレイクからうまれている印象を受けます。
まだまだ得点力は高くないですが、身体能力は素晴らしいものがあり、ディフェンスではチームに貢献していけるプレーヤーです。
プレーオフでもハッスルプレーに期待です
ノーマン・パウエル No.24
190cm 97.5kg NBA5年目
NBA Players of the Week for Week 20.
— NBA (@NBA) 2020年3月9日
West: @KingJames (@Lakers)
East: @npowell2404 (@Raptors) pic.twitter.com/ei2WULcAun
5年目の選手でラプターズのロールプレーヤーとして出場が多かったパウエル選手ですが、3月に入り得点力で開花をさせました。週間優秀プレーヤーにも選ばれる活躍を見せてくれまし。
3月6日ウォリアーズ戦では、力強いドライブとアウトサイドシュートで得点を重ね、38分出場してキャリアハイ37得点の活躍、続くキングス戦でも42分出場して31得点を挙げました。
シーズン終盤で開花したパウエル選手の活躍はプレーオフでシアカム選手の得点力と合わさってラプターズの強力な武器になりそうです。
しかし、3月10日ジャズ戦の試合序盤で左足首を捻挫したパウエル選手は、選手控え室に下がりその後の試合には出場しませんでした。
まだ詳細は報告されていませんが、怪我が深刻ではなくプレーオフまでに復帰が期待されます。これから成長するラプターズの若手の中でも注目のプレーヤーになります。
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ベンチメンバー
マルク・ガソル No.33
210.8cm 115.7kg NBA12年目
ラプターズの主力インサイドとして2019年プレーオフ優勝に貢献したのがガソル選手です。
しかし、シーズン終盤でハムストリングの怪我から思う様に試合出場は出来ていません。3月8日キングス戦に15分出場したが、10日ジャズ戦では出場することはありませんでした。
2013年最優秀守備選手賞やオールスターにも3回選ばれているマルク・ガソル選手は、兄パウ・ガソル選手もNBAトッププレーヤーだった事でデビュー後早くから多くの注目を集めた選手でした。
スペイン出身でヨーロッパ選手特有のステップワークや頭脳を使ったバスケットボールが得意で、すぐに兄にも負けないプレーヤーとして認識されていきます。
2019年シーズン中盤からラプターズに加わっています。
は2020年ラプターズがプレーオフで優勝するには、必要不可欠な選手です。ガソル選手が怪我から復帰してイバカ選手と共にインサイドを務めることが、バックスや76ersなど強力なインサイドを有するイースタン上位チームに対抗する手段になるでしょう。
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フレッド・バンブリート No.23
185.4cm 89.4kg NBA4年目
ラウリー選手の控えガードとしてディフェンス面でラプターズを支えてきました。2番手のポイントガードですが、ディフェンスの読みと勘がとても良くラウリー選手とツーガードで出場する場面もあります。
試合平均17.6得点、6.6アシスト(リーグ19位)、スティール1.9回。スティールはNBAトップ5にランクしている時期もありました。
しかし、膝や左肩の怪我の影響による離脱でチームから離れる事が多々ありました。プレーオフに向けてのコンディションが疑問になっています。
3月15日のピストンズ戦ではロスターに戻る様ですが、プレータイムは限られる様です。少しづつ調整していくと思われます。
バンブリード選手が復帰し、ラウリー選手とアウトサイドで激しいディフェンスが出来ればラプターズの守りが更に堅くなるでしょう。
(2019決勝でカリー選手を苦しめらバンブリート選手のディフェンス)
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※個人スタッツ、レーティングなど、すべて3月中旬時点での成績です。