クリッパーズ ロードマネージメント
ロサンゼルス・クリッパーズは2019−20シーズンに入る前、オフシーズンでスーパースターを2人獲得しました。ラプターズから、優勝を呼び込んだカワイ・レナード選手とサンダーから攻守で高いレベルのパフォーマンスを見せるポール・ジョージ選手を獲得。2人のNBAトップスターをチームに迎えたクリッパーズはシーズン前から優勝候補として高い評価を得ていました。
しかしシーズンが始まれば、カワイ選手は膝の不調、ポール・ジョージ選手は怪我の離脱などでロスターが万全の状態で臨めた試合は少なく首位を同じホームのロサンゼルス・レイカーズに奪われ、カンファレンス上位に位置するもレイカーズには勝率で差を開けられています。
直接対決で見ると、クリパーズとレイカーズは開幕戦とクリスマスゲームで2回対決していますが、このどちらともクリパーズが勝利しています。カワイ選手が両方の試合に出場し、得点とディフェンスでチームを支えたことが勝因に挙げられます。
カワイ選手とポール・ジョージ選手が一緒にコートに立つことができれば強力なラインナップでリーグトップの実力を持つと考えられているクリッパーズですが、実際はトレーナーの過剰な反応によって両選手共に大事をとって多くの試合を欠場しています。
ロードマネージメントと言われ、82試合と長いシーズンを戦っていく中でスター選手に疲労を溜めずプレーオフで全力を発揮してもらうために休みを与えながら戦っていく戦略です。
シーズン序盤からNBA界で問題として取り上げられ、賛否両論がありました。選手を休ませながら戦う事も大事ですが、会場に見に来ているファンや1戦1戦を大事に戦っている他の選手達を考えると否定的な考え方も理解できます。実際にリーグのキングと呼ばれるレイカーズのレブロン選手は35歳ながらチームを引っ張るためにほとんど全試合に出場し平均約35分出場し毎試合全力で戦い、チームは首位に君臨しています。
レギュラーシーズンでも全力で毎試合戦っている選手がいる傍、プレーオフに向けて戦力を温存しながら戦うロードマネージメントに反感を持たれることは仕方がないことだと感じます。
ポール・ジョージ選手はシーズン序盤を怪我で欠場し、復帰後もハムストリングの痛みで欠場することが多々ありました。カワイ選手も膝の不調から2日連続の試合(Back to Back)には出場できず2日目を休むことが続きました(ロードマネージメントと呼ばれる)。実際に選手達の体と今後のキャリアを考えれば休養をとる事も大切だとは思います。
クリパーズが万全のメンバーでプレーオフに入ることができれば、勝ち上がってくることは間違いないと思います。
久しく、ポール・ジョージ選手とカワイ選手が揃って出場したイースタン上位セルティックスとの試合は大接戦になり会場を盛り上げました。
クリッパーズ vs セルティックス
2020オールスター前の最終試合になったクリッパーズ対セルティックス戦はカンファレンスの上位対決だけに注目が集まりました。前回対戦した時はオーバータイムに入り、クリッパーズがセルティックスを下しています。
両チーム共にプレーオフで優勝が狙える戦力があるチームで、プレーオフファイナルで激突する事も考えられるカードだけに勝敗は重要でした。
クリッパーズは怪我での主力の欠場はなく、ほとんど万全のロスターで試合に挑みました。セルティックスは得点源であるウィングのジェイレン・ブラウン選手が試合前に欠場することがレポートされオフェンスでのオプションが一つ少ない状況で試合に入りました。
スターティング ラインナップ
ロサンゼルス・クリッパーズ
- ランドリー・シャメット(G)
- カワイ・レナード(G)
- ポール・ジョージ(F)
- マーカス・モリス(F)
- イビツァ・ズバッツ(C)
ボストン・セルティックス
- ケンバ・ウォーカー(G)
- マーカス・スマート(G)
- ゴードン・ヘイワード(F)
- ジェイソン・テイタム(F)
- ダニエル・タイス(C)
試合内容+ハイライト
序盤から互角の戦いで試合は進みました。セルティックスはケンバ選手とテイタム選手が中心となるオフェンスで得点を重ね、2人のオフェンス力の高さはクリッパーズを苦しめていました。ディフェンスではスマート選手が運動量を見せてターンオーバーを誘いファーストブレイクにつなげるシーンも目立ちました。
クリッパーズはポール・ジョージ選手とインサイドのハレル選手が良く機能して得点が取れていました。カワイ選手はマークされてダブルチームで対応されているシーンもありましたが、うまくディフェンスを引きつけてパスでチャンスを演出していました。
ボストンはインサイドでクリッパーズに負けている印象を受け、リバウンドではクリッパーズが優勢に立っていました。
前半は58−60、セルティックスが2点リードで終えます。
後半に入ってからはクリッパーズの得点源、ポール・ジョージ選手がハムストリングの痛みを訴え後半から欠場する事になってしまいます。
得点源が1枚欠けたクリッパーズは後半からルー・ウィリアムズ選手が爆発しました。NBAのベストシックスマンに選ばれた事もあるウィリアムズ選手は華麗なドリブルでディフェンスを交わし、ミドルレンジと3Pで得点を量産していました。
クリパーズはオフェンスで得点出来るも、ディフェンスでテイタム選手を止める事に苦悩しました。後半からはヘイワード選手が得点をするシーンも目立ちセルティックスも負けておらず、ほとんど点差が広がらないまま緊迫した試合が続きました。
第4Qに入っても、お互いポゼションと体力の削りあいで時間だけが過ぎていました。セルティックスが3点リードしてラスト1分30秒に入りましたが、大事な場面でトレードで加入したモリス選手がオフェンスリバウンドをとり3Pを決め、クリッパーズが同点に追いつき試合は114−114でオーバータイムに入ります。
オーバータイムでもルー・ウィリアムズ選手の得点は止まりませんでした。対するセルティックスはケンバ選手が得点の中心となり、ベテランがクラッチタイムで勝負強さを見せていました。
クリッパーズは審判の笛に延長戦で悩まされました。勝ちを確実に出来たルー・ウィリアムズ選手の4点プレーがノーカウントになりクリッパーズはリードを奪えず、オーバータイムで決着がつかず再延長に入ります。
セカンドオーバータイムではセルティックスのテイタム選手が、1on1でのオフェンス力の高さを活かして得点をあげてクリッパーズを引き離しに掛かっていました。
クリッパーズもインサイドでハレル選手が強烈なダンクで巻き返しを試みチームを鼓舞していましたが、最後はセルティックスに逃げ切られて133−141でクリッパーズは敗れました。
Clippers vs Celtics Full Game Highlights | NBA 2020
スタッツ リーダー
得点
- ルー・ウィリアムズ 35
- ジェイソン・テイタム 39
リバウンド
- モントレズ・ハレル 13
- ゴードン・ヘイワード 13
アシスト
- ルー・ウィリアムズ 8
- ケンバ・ウォーカー 7
クリッパーズシーズン終盤に向けて
セルティックスに負けてしまったクリッパーズですが、敗戦よりもポール・ジョージ選手の負傷が気になりました。プレーオフで戦っていく上ではポール・ジョージ選手の存在が必要不可欠になってくるので彼が早期にチームに復帰できることを願っています。
ルー選手やハレル選手、トレードで入団したモリス選手などベテラン勢が良く活躍出来た試合だったので内容的にはすごく良かったと感じました。
ディフェンスでテイタム選手に1on1でインサイドまで切り込まれる場面が多く見られたので、そこの対策が必要になると感じました。カワイ選手をオフェンスに集中させる為に、マッチアップさせなかったと考えられますが、ディフェンスでもカワイ選手のスキルを活かせる様にもっとオフェンスでハレル選手やズバッツ選手のインサイドを使っていく必要がある様に思いました。
シーズン終盤ではプレーオフに向けてオフェンスで試すことに挑戦しながらチームの戦術を高めていって欲しいです。クリパーズにとっては勝つことは当然でその先のプレーオフでの戦い方に集中してシーズン終盤を戦う必要があると感じます。
レイカーズ1位、クリッパーズ2位でレギュラーシーズンを終える事ができれば、プレーオフでお互いシード権を勝ち取り、ファイナルまで戦うことを避ける事ができます。2019−20ウェスタン ではナゲッツとジャズも強力なラインナップで優勝を狙えるチーム力を持っているのでクリッパーズは2位でシーズンを終えレイカーズとの決戦を最後まで持ち越したい所でしょう
2020はプレーオフまで目が離せない試合が続くシーズンになります。カワイ選手とポール・ジョージ選手が所属するクリパーズの試合には今後も注目していきます。