ロケッツ Small Line Up
MVP?得点王?ヒューストン・ロケッツのBread(髭)という愛称で親しまれるジェームズ・ハーデン選手は、2018,2019年NBAで得点王を獲得し、2019−20シーズンでも試合平均35.4得点を記録しリーグのトップにランクしています。NBAの平均得点が1人10.5である事を考えるとコートにいる選手の3倍以上の得点を1人で挙げていることになります。
ハーデン選手が所属するロケッツは2019オフシーズンでウェストブルック選手を獲得し、ハーデン選手と強力なデュオを結成してシーズンに挑むことになりました。得点力が高いロケッツですが、ディフェンスの脆さやハーデン選手のボール離れの悪さで思う様に勝てず、ウェスタンカンファレンス3位〜6位に位置するシーズンで首位のレイカーズには追いつけていません。
ロケッツは2月6日のトレードデッドライン前に大きな選択をしました。シーズンを通してロケッツのインサイドを支えたクリント・カペラ選手を4チームが関与するトレードでアトランタ・ホークスに放出し、ジョーダン・ベル選手とロバート・コビントン選手を獲得しました。
The four-team, 12-player deal is the most expansive trade since the Knicks sent Patrick Ewing to Seattle, per @BobbyMarks42. pic.twitter.com/JU6NodoIYk
— NBA on ESPN (@ESPNNBA) 2020年2月5日
このトレードが成功したことで、ロケッツは実質インサイドのプレーヤーが居なくなり、アウトサイドの選手だけでラインナップを構成することになります。スモールラインナップで早い展開の攻撃とハーデン選手、ウェストブルック選手が中心となるオフェンスを組み立てるのが狙いだと思われます。
インサイドにセンターがポストアップしていない事でゴール付近のスペースが広がりペイント内にドライブする事が可能になりウェストブルック選手の強いドライブが活かせるポイントと、カペラ選手を引き出してハーデン選手とのピックアンドロールで攻める事が多かったロケッツは、ダブルチームでハーデン選手を潰される場面が多かったので、そこのピックアンドロールが必要なくなり、単純にハーデン選手の1on1で勝負できる様に戦術を変えていく為でしょう。
しかし、センターがいなくなることでディフェンス面では、相手チームのビッグマンに対応出来なくなる事とリバウンドが弱くなる事が予想され、スモールラインナップでどこまで戦えるか注目されたロサンゼルス・レイカーズ戦の試合内容とハイライトを紹介します。
ロケッツ vs レイカーズ
2月6日(現地時間)に行われた、ロケッツ対レイカーズ戦はレイカーズ のホームステイプルズセンターにロケッツが乗り込みました。両チーム、怪我人などでの離脱はなく、万全のロスターでの試合になりました。
レイカーズはビッグマンを多く揃えるチームで、レブロン・ジェームズ選手がうまくパスを回しインサイドを機能させているので、ロケッツがレイカーズ のオフェンスにどこまで対応できるかが注目されました。
スターティング ラインナップ
ヒューストン・ロケッツ
ロサンゼルス・レイカーズ
- エイブリー・ブラッドリー(G)
- ダニー・グリーン(G)
- レブロン・ジェームズ(F)
- アンソニー・デイビス(F)
- ジャベール・マギー(C)
試合内容+ハイライト
予想通り、ロケッツはアウトサイド選手がメインのラインナップで、ゴードン選手とコビントン選手がインサイドのディフェンスをする布陣でした。
オフェンスでは、ハーデン選手とウェストブルック選手がドライブからのパスアウトで外からシュートを打つセレクションが多かったです。序盤はウェストブルック選手の得点が目立ちました。クーズマ選手やグリーン選手がマッチアップしていましたが、ウェストブルック選手の1on1に対応出来ず、インサイドまでの侵入を許しアシストと得点にリズム良くプレーされていました。
レイカーズ のオフェンスはインサイドを軸に使って攻めていました。ロケッツはセンターがいない事もあり、デイビス選手とハワード選手のポストアップには手を焼いていました。ダブルチームでプレッシャーをかけるなど、対策を立てていましたがペイント内での得点を防ぐ事は出来ず、リバウンドもレイカーズに多く奪われていました。
ロケッツはインサイドでレイカーズ に苦しめられるもアウトサイドのシュートとウェストブルック選手の得点でレイカーズ にリードを許さず、63−63の同点で後半に入ります。
後半に入っても一進一退の攻防は続き同点で試合は進みます。レイカーズは徹底的にインサイドを攻めロケッツのセンターのいない穴をこじ開けていました。対するロケッツはハーデン選手をダブルチームで対応されるも他の選手がアウトサイドから高確率でシュートを決めていたので得点が止まることなくレイカーズを離しませんでした。
ロケッツはこの試合、レイカーズの3P29.0%に対して、3Pを45.2%の高確率で決めておりアウトサイドのオフェンス力の高さを見せつけていました。ディフェンスではインサイドを止められなかったが、オフェンスの勢いでレイカーズをじわじわ攻めていました。
特にウェストブルック選手の突破力が高く、レイカーズはウェストブルック選手のドライブが止められず、試合を通して得点を許し41得点も奪われてしまいます。
第4クォーターはレイカーズ のミスが試合を動かしました。連続のターンオーバーでロケッツにチャンスを与えてしまい7点差をつけられます。最後に巻き返しを見せ同点まで追い上げたレイカーズですが、勝利を手にするシュートをレブロン選手が決める事ができず、ロケッツに再度流れを掴まれて勝利を奪われます。
最終スコアは121−111でロケッツが勝利しました。
試合はレイカーズが勝てる試合を落としてしまった印象です。ロケッツはトレード後の最初の試合でもあり即席メンバーでか良く戦えた試合だと感じました。
ハーデン選手が周りの選手にもパスを散らすようになった事が見られ、チームとしてオフェンスのリズムが上がった印象です。今後もハーデン選手が他の選手をうまくつかっていければ、勝利を重ねる事になるでしょう。
Los Angeles Lakers vs Houston Rockets Full Game Highlights | February 6, 2019-20 NBA Season
スタッツ リーダー
得点
リバウンド
アシスト
- ジェームズ・ハーデン 7
- レブロン・ジェームズ 15
ロケッツプレーオフに向けて
ロケッツは絶対的な得点源、ジェームズ・ハーデン選手がオフェンスの軸になっていますが、ハーデン選手のボール離れの悪い(パスが少ない)事や、彼のシュートが入っていない時間帯のチームの雰囲気は非常に悪いと感じます。
ウェストブルック選手がハーデン選手の不調の時にチームを引っ張っていますが、彼も決して外のシュートが得意な選手ではないので相手にインサイドを固められた時に得点が伸びるかが問題になりそうです。
センターを放出した事で、スピード感とフロアバランスが広がり外の選手が攻めやすくはなっていますがディフェンスは、以前に増して衰えたといえます。外のシュートが最終的な得点力になる分リバウンドが取れないのも厳しい条件になってくるでしょう。
プレーオフに進出する事には問題のない戦績ですが、プレーオフではハーデン選手のコンディション頼りになる事が予想されます。ハーデン選手のシュートが入らない時間帯や、ダブルチームで潰される事を予想して他のオフェンスオプションを用意していく事が、今後シーズン終盤でのチームの課題になると思われます。
新加入のコビントン選手やベテランのゴードン選手、タッカー選手をうまくオフェンスに参加させる事でチームのケミストリーが上がればプレーオフで勝ち上がっていくことも考えられます。
アウトサイドシューターにはゾーンがあり、調子が良い時は驚くほど高い確率で決まる時間帯もあるのでハーデン選手がプレーオフで爆発することも楽しみです。